2015年7月

 

カレル・チャペック『園芸家の一年』 7月29日(水)

  • 恒文社 定価1400円
  • カレル・チャペックは、チェコの作家で『ロボット』という戯曲を書いたことで有名です。ロボットはチャペック自身の造語で「労働」を意味する古いチェコ語から造られたそうです。内容は人間の労働を肩代わりする人造人間が人間に対して反乱を起こすというもので、『ターミネーター』や『マトリックス』などの素案を、第2次世界大戦の前に考え出したのですから、ずいぶんと優れた創造性をもった作家ですね。
    現在、人工知能AIを兵器に搭載するかどうかが議論されている最中だそうです。米軍が開発していて、若い研究者が補助金目当てに参入しているのに対して著名な科学者が警鐘を鳴らしているということです。
    チャペックが想像し、既に始まっている未来は実に恐ろしい感じがします。
    なお、チャペックはノーベル文学賞に推されたのに辞退したことも有名です。立派ですね。
  • そのチャペックはだいの園芸好きでした。庭仕事の好きな方なら誰もがふむふむとうなづき、時には苦笑いをかもす、とても楽しい本がこの『園芸家の一年』です。そのおもしろさを味わっていただくために第2章「園芸家が誕生するまで」を引用します。
  •  人間は、若さいっぱいの花ざかりのうちは、花というものは胸のボタン穴に挿すか、女の子に贈るものだと考えている。花とは、冬眠し、耕作され、施肥され、灌水され、移植され、挿し木され、剪定され、支柱にしばりつけられ、雑草や寄生菌糸体や枯れ葉やアブラムシやウドンコ病やらを取り除いて取り除いてやるものだという事実をどうも正確に認識していない。
  •  若いうちは、花壇を耕すかわりに、女の子の尻を追いかけ、自分の野心をみたし、自分で育てたものではない人生の果実を楽しみ、全体的に破壊的にふるまう。そんな人がアマチュア園芸家になれるのは、ある程度成熟してから、言ってみれば、ある程度おやじの年齢になってからである。おまけに、自分の庭が必要だ。
  •  人間は、ふつうの場合、庭づくりはプロの庭師にまかせ、一日の仕事のあとで庭をぶらつき、花を眺めたり、鳥のさえずりに耳をかたむけて楽しもう、と考える。そのうちに、ある日、自分の手で何か花を植えることになる。わたしの場合は、バンダイソウだった。
  •  その折、爪の周囲炎かなにかで、体の中に土がちょっぴりはいり込み、中毒か炎症のようなものを起こす。つまり、熱烈な園芸家病にかかる。爪さえつかめば、鳥全体がつかまえられる、というわけだ。
  • (中略)そんないろいろなきっかけからはじまって、園芸家は、この新しく目ざめた情熱の深みにどんどんはまっていく。この情熱は、成功を重ねることで肥大し、不成功を重ねることで鞭撻を受ける。
  •  園芸家の体内に、突如として、押さえきれぬ収集家熱が芽を出し、それに駆られて、AからZまでアルファベット順にすべての植物を育てようとたくらむ。
  •  やがてそのあとに、園芸家の体内では専門家病が繁茂してきて、それまで正気だった人間を、バラきちがいや、ダリアきちがい、または、他の種類のエキセントリックなマニアにしてしまう。
  •  また、別の人たちは芸術家熱にかかり、たえず自分の庭を再編成し、模様がえをし、つくりなおし、色どりを考えて構成し、花の群れを組み替え、そこにあって育っているものを植え替える。いわゆる創作的不満に追い立てられるのだ。
  •  ほんとうの園芸とは牧歌的で瞑想的な行為だ、と考えないでもらいたい。それは、あくなき情熱である。凝り性の人間がのめり込むような、すべての物事と同じである。

 

一花一鉢からの花LIFE 7月24日(金)

  • 石川啄木の歌です
     友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
     花を買ひ来て 
     妻としたしむ
    心がしおれそうになったとき花が命をくれます
  • この間は、店に珍しいダリアの黒蝶が入ったのでトルコキキョウと一緒に投げ入れました
  • 暮らしのなかに花があると一息つくことができます
    おとぎやはカーネーション1本からでも買いやすいお店でありたいと思っています
    広い花壇がなくても玄関先に一鉢の花があるだけで素敵な花LIFEです。
  • かつての文学仲間が大学教授になったりメディアで活躍したり、友がみなわれよりえらく見えるのでなく実際偉くなっています。花を見ながら啄木を思い、余生をどう豊かに生きようかと思います。人生の下り坂で花に出会い、花がどこかへ導いてくれています。

 

つるもの 7月21日(火)

  • 今年の庭仕事のテーマの一つが、つる植物の育成です。朝顔、夕顔、クレマチス、ツンベルギア。そして、アーチにしてみようと考えたのが、マンデビラ、ノブドウ、アサリナ、クイーンネックレスです。
  • 写真でお分かりのようにマンデビラのアーチは、いい線いってます。左側が赤、右側にピンクのマンデビラの鉢を置いて絡ませました。8月には完成しそうです。
    ノブドウの場所が半日陰のせいか成長が遅いです。また思うようにからまってくれません。
    3段目の写真、右側がアサリナです。左側がクイーンネックレス。枝が細くてアーチに絡んでくれないのでアーチにネットをかけました。ご覧のとおりアーチの半分くらいに伸びてくれてます。アサリナは少し花をつけてます。混み過ぎなので少しつるを間引いて風通しよくするつもりです。アサリナは登らせるよりは枝垂れさせたほうがよかったようです。研究不足でした。
  • なお、マンデビラは3種類の鉢植えが在庫であります。ノブドウとアサリナ、クイーンネックレスは残りあとわずか数点です。興味のある方はおとぎやでご覧になってください。

 

観賞用イネ 7月20日(月)

  • 月曜日は唯一の休みの日です。花壇に一日中入り浸っています。水やり、花柄摘み、支柱立て、誘引、施肥、雑草とり、害虫駆除、消毒。やることだらけです。花を育てているというより、花の奴隷状態化しています。いよいよ夏を迎えて、わがままなご主人様、お花様のお世話が大変になってきました。
  • そんなに大変なのに珍しい植物を見つけると育ててみたくなるのです。今回は観賞用イネ。以前ご紹介した睡蓮鉢で育ててみることにしました。ついでに鉢の底にイオンライトを敷き、水草用肥料をやりました。イオンライトの効き目で水が本当にきれいになりました。おとぎやで売ってます。どうか使ってみてください。
  • 観賞用のイネは、東北農業研究センターが開発したものです。古代米をもとに品種改良したそうです。観賞用イネは、おコメを収穫することが目的ではなく、鮮やかな色に染まった葉や穂を観賞して楽しむためのイネです。切り花やドライフラワーにしたり、フラワーアレンジメントにも適しています。もちろん収穫してもち米として食べることもできます。
    料理屋さんなどで季節の彩りとして添えてみると素敵かもしれませんね。
  • 今回入荷している品種は「祝い紫」です。田んぼで育てるとこんなイメージで成長するようです。

 

サルビア・ガラチニカ(メドーセージ) 7月19日(日)

  • メドーセージ、草丈は1~1.5Mほどに成長します。冬の寒さで落葉しますが、根は生きていて春になると芽ばえる宿根草です。写真のメドーセージはおとぎやの看板の下の狭い地面が雑草に覆われるので、昨年の秋植えた一株が、大きく成長してよみがえってくれたものです。
    アブラムシ避けのコンパニオンプランツなので、バラなどと混植してボーダーガーデンにするとメドーセージの濃い青がバラとマッチして美しい花壇ができます。
    メドーセージはおとぎやでも販売中です。
  • メドーセージの本名はサルビア・ガラチニカ。チョリーセージの本名はサルビア・ミクロフィラ。以前おとぎやで販売していたパイップルセージ(葉をこするとパイナップルのにおいがします)はサルビア・エレガンス。メキシカンブッシュセージはサルビア・レウカンサ。ジャーマンダーセージはサルビア・カマエドリオイデス。ラベンダーセージはサルビア・インディゴスパイア。
    といった具合にセージと名前が付くもののほとんどがシソ科アオギリ属サルビアなのです。セージと名前がつくのは、コモンセージ(サルビア・ オフィシナリス)が肉料理の臭み消しやハーブティーに用いられ、抗酸化作用が認められて薬用サルビアとも言われるためで、サルビア全体に○○セージと名づけられているようです。
    ところが、一般的にサルビアと一言で呼ばれている赤い花はサルビア・スプレンデンスが本名です。ブルーサルビアはサルビア・ファリナセアです。これら2種はセージと呼ばれていません。だからセージはサルビアですと言うと不思議な感じがしますね。
    赤い、いわゆるサルビア(スプレンデンス)は夏の暑さにも多湿にも乾燥にも強いので人気があります。学校の花壇にもずらっと植えてありますね。
    なお、赤いサルビアの蜜が甘いのでそれを吸って楽しんでいる子供を見かけることがあります。その成分にはアルカロイドが含まれているのでたくさん吸うと健康に害があるようです。
    世界中には800~900種類のサルビアがあるそうです。そしてほとんどの品種が頑健で育てやすい宿根草です。ところが、おとぎやではセージと名がつくサルビアはあまり人気がありません。赤いのと青いのだけでない様々な種類のサルビアを皆さんに育てていただくとうれしいなと思います。
    ちなみに、以前おとぎやでも販売していたロシアンセージはシソ科ペロフスキア属でサルビアではありません。こんなところもサルビア、セージのおもしろさですね。

 

朝顔 7月12日(日)

  • 朝顔の行灯仕立て。長雨の間はあまり元気よくありませんでしたが今は絶好調です。朝起きて、朝顔の顔を見るのが楽しみで玄関先に置いてあります。家の南側の壁にはネットを張って青とピンクの朝顔を植えました。こちらはまだまだ生育中です。
  • 朝顔の苗はおとぎやで販売中です。行灯仕立ては某ホームセンターで買ったのですが、その後おとぎやでも仕入れました。格安で販売中です。それも葉が斑入りなので、是非ご覧になってください。

 

エキナセア ルドベキア 7月11日(土)

  • 二つの花は宿根草です。頑健な花で夏の暑さに強く冬越しにも強いそうです。わたしの庭では、去年の夏植えたのが今年も咲いてくれました。そして去年より背が高く株も増えています。バブル状態です。でも、ルドベキアのタイガーアイが2つほどよみがえりませんでした。どうもミソハギが地下茎をだいぶ伸ばしたのでやられたのではないかと思います。エキナセアは白と赤がありましたので、おとぎやで黄色を買い足してチコリを抜いた後に植えました。
  • おとぎやではエキナセアとルドベキアを売っています。ルドベキアは背の低いルドベキア・トトという品種もあります。下の写真は店のルドベキアです。元気よさそうでしょ。

 

ハンゲショウ 7月8日(水)

  • 花が咲く時期になると葉が白く変化するので「半化粧」とも言われるハンゲショウ。白い葉が夏の庭でとても涼しげです。湿気を好むので庭で最も水はけの悪い場所に植えました。隣は、花菖蒲と睡蓮鉢です。睡蓮鉢ではメダカを、灯油を入れるポンプを使って水をくみ出し、一日おいた水道水をつぎたしています。そのくみ出した少しハンゲショウの水遣りに使っています。睡蓮蜂は水はけの悪い土中に半分以上埋めてあります。地温に触れて水温が安定するという話を読んだからです。ハンゲショウとスイレン、姫スイレン、睡蓮鉢はおとぎやで発売中です。花菖蒲は売切れです。
  • 睡蓮鉢の周囲はネットで買ったバードスパイクで囲んであります。みゆきメダカが9匹いたのですが7匹に減ってしまいました。2匹が行方不明です。猫に獲られたのかなあと思っていたら、妻が「睡蓮蜂でカラスが水浴びしてたよ」と教えてくれました。犯人はどうやら我が家周辺を根城にするカラス集団6羽に違いありません。そこでバードスパイクです。これは置くだけで周囲に鳥がやってきません。鳩の糞害にも効果ありだそうです。とにかくそれ以来、メダカは平和に暮らしています。
  • カラス対策はもう一つあります。緑色レーザーポインターです。カラスなどの鳥類は緑色の光をとても嫌がるのだそうです。そこで500M以上とぶというレーザー光線を発するレーザーポインター、これもネットで購入しました。これが効果抜群。照射するとすぐに逃げます。朝の騒音に悩まされなくなりました。なおカラスには「ここに来ちゃだめだよ」と警告を発しているだけです。グリンピースの皆さんご理解ください。カラスとレーザーで戦っている皆さんに”May the force be with you!!"

 

庭仕事は魂を解放する瞑想である  ~ヘッセ~

  • 女もすなるガーデニングなるもの男もしてみんとてすなり。
    ということで仕事のための勉強として始めたガーデニングです。しかし、ガーデニングという何となくキラキラした名称が自分のしていることにぴんとこないのです。
    店でお客様や従業員が「この花、かわいい」とおっしゃる言語も理解できない。基本的に花はすべて美しい。じぶんが気に入るか気に入らないか。育ててみたいかそうでないか。それがわたしの基準です。それを表すのに「かわいい」という記号は、わたしにとっては不適切です。
    花を育てること。庭を造ること。その楽しみは「ガーデニング」という記号では表記できないと思っていました。
    ところが、この「庭仕事」という呼称は、ぴったりきます。
    園芸を始めてやっと1年がたったばかりです。ヘッセは1日の半分を庭で過ごしたそうですから、ノーベル文学賞大作家のように魂を解放する瞑想まではいきませんが、こころがやすらぐ自分の庭で思ったことを綴っていこうと思います。
  • 『庭仕事の愉しみ』(草思社文庫)