2017年春

ゴースト・イン・ザ・シェルを観てきました

  • 結論から言いますと、攻殻機動隊ファンor押井守ファンはあまり期待せずに観てください。どこにツッコミを入れるか、そこんところに楽しみを見出してください。
  • そもそも、「スカーレット・ヨハンソンは草薙素子じゃないでしょ」というのが多くのファンの意見でしたが、キャスティングのミス以上にプロデューサーも監督も脚本家も電脳世界とゴーストという基本テーマを全く理解していないというところが大問題です。
  • 親子愛や奪われた恋人といったモチーフがゴーストイン・ザ・シェルに出てくるのは、本当にげんなりします。もっと原作をリスペクトせよと言いたい。というか、お前たち”ゴースト”を理解してないだろう?と聞きたい。
  • オープニングロゴに中国電影のロゴが入っていたので、その時点で既に不安がMAXに達しました。家に帰って調べてみると、この映画製作予算の半分が中国資本だったという情報がありました。
  • このところのハリウッド映画、特に予算のかかるSF映画には中国資本がかなり入っています。中国資本は、金だけ出すのならいいのですが、口も出してきます。SONY映画のパソコンがVAIOなのはご愛敬ですが、中国資本参加の映画には物語の展開上必要もないのに中国が登場します。脈絡もなくアメリカと中国が協力するという予算上の物語陳腐化で、ハリウッド映画にがっかりしてしまったことが何回もありました。
  • 2016年7月16日、環球時報(電子版)によると、中国の米ハリウッドに対する影響力が日ごとに増している。 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国不動産大手の万達(ワンダ)集団は12年、米映画館チェーンのAMCを買収した。AMCは今週、欧州最大の映画館チェーンを買収し、万達は世界市場での買収を急速に拡大している。中国の映画市場は、来年にも米国を抜き世界最大になるとみられている。これに伴いハリウッドの映画業界にも変化が生じている。中国から大量の製作費が投じられることで、中国での興行成績をより良くするよう意識されるようになったのだ。特にリスクの高い作品では中国重視の姿勢が強い。米業界アナリストの1人は「中にはハリウッドの業界ルールを破る例も出ている」と指摘。最近公開されたハリウッド大作「インデペンデンス・デイ リサージェンス」では、ヒロインは中国人女優、登場人物は中国大手メーカーの牛乳を飲み、中国で人気のチャットアプリでコミュニケーションを取っているのだ。(翻訳・編集/大宮)http://www.recordchina.co.jp/b145063-s0-c30.htmlより
  • 次の作品をご覧になった方はうなずいていただけるだろうと思います。
  • この『オデッセイ』のマット・ディモン、万里の長城で饕餮(とうてつ)という怪物と戦うという映画に主演しているようです。万里の長城に攻めてくるのは匈奴ではなく怪物で、万里の長城は中華帝国を守るためでなく人類を守るために存在しているのだそうです。すごい‼こんな映画を作った監督は中国人のチャン・イーモウ(『初恋が来た道』や『あの子をさがして』はいい映画でした)です。ところが、配給はユニバーサル映画、製作もハリウッドのレジャンダリー・ピクチャーズ、キングコング主演の『髑髏島の巨神』を作った会社です。ところがびっくり、なんとこの会社は「中国の不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)によって35億ドル(約3600億円)で買収されました(2016年1月11日付米紙ロサンゼルス・タイムズ)」そうです。同社はゴジラ・ハリウッド版を再度作る予定ですが、あのゴジラが、東京でもなくニューヨークでもなくロサンゼルスでもなく、上海に上陸して国家主席に指導の下勇敢な紅軍に倒されてしまうというストーリーなのでしょうか?!
  • グレートウォールは世界に先駆けて中国で上映されました。中国での評判を知りたいものです。中国版のポスターでは白人俳優の比重が少し落ちているようです。
  • この映画近くでは、シネマプラザ・サントムーン(清水町)で14日(金)から上映されます。なお、饕餮ですが、酒見賢一の『陋巷に在り』新潮文庫に出てきます。孔子の最愛の弟子、顔淵(願回)が饕餮と呪術を駆使して戦っています。饕餮は古代の神ですから弓矢では倒せないのです。
  • さて、ゴースト・イン・ザ・シェルに戻りますが、都市がどう見ても日本でなく、つまり同じゴミだらけの街路であっても新宿や池袋の汚さではなく、どう見ても上海なのです。アジア的建物は瓦がそっくりかえっている中国風。日本が舞台となっている映画で簡体字(中国共産党が創り出した歴史的に最悪の漢字、もっともそれに次いでひどいのが常用漢字です)を使うわけにもいかないので漢字がほとんど出てきません。欧米人は「細部に悪魔が宿る」と言いますが日本では「神は細部に宿る」と言います。この映画の細部にどちらが宿っているかは明らかです。
  • 日本映画がつまらないのはもうあきらめていますが、ハリウッドもつまらなくなっていくのかもしれません。中国資本とディズニーという2つのウィルスがハリウッドに感染し始めているからです。
  • スターウォーズ・エピソード7のなんと悲しかったことか。というか、ルーカスがスターウォーズをこともあろうにディズニーに売ったと聞いたとき、ルーカスは死後、映画人の天国で黒澤明にどんな顔をして会うんだろうと思ったものです。ディズニーが作ったスターウォーズは、予想通りの最悪映画でした。
  • ディズニーは、おとぎ話という古典を持たない米国人のための創作おとぎ話です。米国人のキリスト教原理主義とdream come trueという主体神話に彩られた独特の世界観がディズニーです。それが好きな人たちが楽しめばいいだけの話です。ディズニー映画だねと思って観ていれば私も楽しめる映画がたくさんあります。ところが、『アナと雪の女王』はアンデルセン原作と本当に無関係であり、本来「雪の女王」を名乗ってはいけないのです。原作は「ありのままの…」などという米国的自己実現とまったく違う世界観で創られた物語です。このようにディズニー資本主義は映像の帝国を拡張しようとして、ハリウッドの多元的世界観を壊しています。
  • ゴーストイン・ザ・シェル実写版に次回作はあるのでしょうか。中国では大入り満員だそうです。ネットが国家によって規制されている中国、その資本が入った映画で、少佐は「ネットは広大だわ」(草薙素子の、たぶん一番有名なセリフ)と言えないでしょう。それはもう攻殻機動隊ではありません。
  • 一番嫌な気持ちになったのが多脚戦車。フチコマやタチコマとしてこのロボットを愛してきたファンにとっては、この映画でのタチコマの扱いは屈辱的であり、厳重に抗議したいと思います。
  • もっとも攻殻機動隊には、士郎正宗の原作版、押井守の映画版『GHOST IN THE SHELL』、神山健治の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』、黄瀬和哉と冲方丁の『攻殻機動隊ARISE』の4つのバージョンがあり、このハリウッド中国資本半分版もその新しいバージョンととらえることができます。新しい作品と思って観ると、それなりに楽しいのかもしれません。
  • 上記内容を読み直してみると、私がネトウヨのように思われてしまう可能性があると感じました。違います。中国古典を少しかじり宮城谷昌光の作品が好きな私は、決して反中国ではありません。金儲け共産主義という、カールマルクスの思想を踏みにじる歴史的過ちを犯している中国共産党が嫌いなだけです。私の中国コンプレックスは複雑ですので、それを語るのはまた別の機会に。

春の訪れ 4月10日(月)

  • 今年の3月末は寒い日が続き、木蓮やコブシ、土佐ミズキ、ミツバツツジ、そしてカタクリの開花が遅れました。そのため、開花が染井吉野に追い付かれてしまって、我が家の庭はそれら花々の同時開花状態になってます。
  • 4月10日だというのにカタクリがまだ開花してます。この株は種を発芽させ実生から育てて10年ほどのものです。プランターで育って7年目に開花し、一昨年の秋11月(カタクリは12月になると休眠から目覚め地中で芽が動き始めます)クリスマスローズ・ガーデンの東側に移植しました。雑草を抜き取り、表土に腐葉土と堆肥を混ぜて30㎝ほどの深さに耕しました。カタクリ育成プランター(60㎝サイズ)を剪定ばさみで切って壊し、プランターの土のまま表土の上に置きました。
  • カタクリはモグラなどの害獣や害虫に麟塊(球根のようなものだと思ってください)を食べられてしまわないように、年を経るごとに根が深く深く潜っていく性質があります。自然の状態ですと、7年目開花の麟塊は地下40~50㎝以上に潜っています。ところがプランターはそんなに深くない上に、毎年3~5㎝ずつ土が失われていきます。そのためプランターの横サイドのプラスティックを壊してみると、底のプラスティックの穴に根を生やした麟塊がこびりついています。その麟塊と根を傷つけないよう丁寧に外してやります。そして、耕した土の上に麟塊を置いてやり、さらも腐葉土と鹿沼土を半々に混ぜたふかふかの土で20~30cm程度覆ってやりました。
  • そして、去年の春、今年の春とカタクリが芽を出し咲いています。なんと2年物の小さな葉が生えてます。増殖する可能性ありです。でも、今年の春は開花中ほとんど雨だったので花は受粉できていない気がします。少し残念です。
  • クリスマスローズは地に放してやると、やはり元気です。
  • ヒメリュウキンカも地に放しましたが元気です
  • 土佐ミズキとミツバツツジの下は冬から春のあいだ日が当たり、冬涼しい場所です 水はけをよくするため土壌改良しさらに排水の良く有機質に富んだ土を盛りつけました

本坊酒造マルスウィスキー アイコンズ・オブ・ウイスキー2017 世界最優秀賞受賞 おめでとうございます

  • 2017.04.03(月)
    アイコンズ・オブ・ウイスキー2017 世界最優秀賞受賞
    ウイスキー業界の世界的なコンテストである「アイコンズ・オブ・ウイスキー(IOW)2017」において、この一年でウイスキー業界に多大な貢献を果たした中小規模のウイスキーメーカーに贈られる「クラフトプロデューサー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、世界各国のウイスキーメーカーの中から、世界最優秀の企業として授与されました。本坊酒造(マルスウイスキー)が、IOWで世界最優秀賞を受賞するのは初めてとなります。
  • マルスウイスキー、実はマッサン(竹鶴政孝)とも関係があります。ウイスキーの本格的な蒸留方法を学ぶためにスコットランドへと送り出した人が岩井喜一郎です。その岩井が娘婿であり弟子でもあった本坊蔵吉のために戦後創り出したのマルスウイスキーなのです。
  • 国産ウイスキーの生みの親として知られる故竹鶴政孝氏。 当時、24歳だった竹鶴氏に日本の本格ウイスキーの夜明けを託し、上司として彼を英国に送り出した男。その人こそ、マルスウイスキーの生みの親、故岩井喜一郎氏です。竹鶴氏は、スコットランドにおけるウイスキー研修の結果を「ウイスキー報告書」にまとめ、岩井喜一郎氏に提出しました。それこそ、後に国産ウイスキーの原点となった「ウイスキー実習報告書」通称「竹鶴レポート」です。マルスウイスキーは、その岩井氏の指導のもとに設計されたポットスティルによって造られた原酒を元に誕生しました。以来、ひたすらに正統スコッチウイスキーを超えるべく、原点に忠実に、本物のウイスキー造りに情熱を注いできたマルスウイスキー。その成果は、ウイスキー通の間で"幻の逸品"と称されるまでになりました。(本坊酒造ホームページより引用)
  • 詳しくは本坊酒造ホームページ https://www.hombo.co.jp/marswhisky/ でご覧ください
  • マルスのブレンディドウイスキー「ツインアルプス」はお値段もお手頃で、おいしい酒です。フルーティーな味わいのあるうまい酒です。以前は某ホームセンターでも売っていましたが今はもうありません。タイラ酒店でお求めください。
  • 受賞記念ということで、ブレンディドモルトウイスキー「越百(こすも)」を買い求め飲んでいる最中です。
  • 日本アルプス山系、駒ヶ岳の麓から湧き出る清らかな水、豊かな自然の息づく標高798mに、マルス信州蒸溜所は静寂の中たたずんでいます。「MARS MALTAGE 越百 Malt Selection 」は、マルスウイスキーのブレンド技術により、タイプの異なる複数のモルト原酒をヴァッティングすることで、複雑さと奥行きを表現したモルトウイスキーです。ハチミツやキャラメルを連想させるふくよかな甘い香りの中に、ほのかなスモーキーフレーバーと熟した果実の香りが広がり、口当たりは丸く柔らか、優しい余韻が特徴です。商品名の「越百」は、中央アルプスに連なる山の一つである「越百山」から名付けました。宇宙を連想させる越百(コスモ)という呼び名から、中央アルプス山麓にあるマルス信州蒸溜所から見上げる夜空をイメージしたラベルデザインとしております(本坊酒造ホームページより引用)
  • ヨード臭が少なく飲みやすい酒です。ストレートを口に含むと確かにスモーキーフレバーが漂います。ニッカやサントリーのような独特の癖というか特徴は認められませんが、スコットランドの有名蒸留所に匹敵するよいモルトだと思います。
  • ジャパニーズウイスキーも、インディペンデントメーカーからいい酒が出るようになってきました。スコッチ、アメリカンウィスキー、カナディアンウィスキー、アイリッシュウィスキーと並ぶ、世界5大生産地がジャパニーズウィスキーだと日本人の皆さんに知ってほしいと思います。

豆腐プロレスよ 豊田真奈美を観るべし

  • 次回豆腐プロレスの予告は http://www.tv-asahi.co.jp/tofu-prowrestling/story/0012/ でご覧になれます
  • AKB48の女の子たちにプロレスを指導している女性がいます。どこかで見たことのある人だなあと思ったら下田美馬でした。
  • 下田さんが未だ現役ということを知ってまたびっくりでした。というのも私は全女(全日本女子プロレス)倒産のとき、女子プロレスファンを止めたからです。
  • 昔、ビューティーペアやクラッシュギャルズが全盛だった時代は、女子プロレスを観るのは少女たちでした。全女のコンセプトが女子プロの宝塚だったからです。フジテレビが放映していました。人気のある選手はレコード(‼)を出して、試合の前に歌っていました。歌が終わるとお約束で、その選手のカラーである紙テープ(今は売っていないのでしょうか❓!)をファンがリングに投げ入れるという世界でした。
  • しかし、クラッシュギャルズの引退とともに、女子プロから少女ファンが離れていきます。その会場に私のような男性女子プロレスファンが流れていきます。別にエロ親爺だったからではありません。当時の女子プロレスが、華麗かつ過激な素晴らしい試合を地方の会場でもやってくれていたからです。
  • プロレスの地方試合は基本的に顔見せ、技見せです。シングルマッチはほとんどなく、タッグマッチやトリプルマッチで全選手が出場してくれるというものです。ですから「この試合は何番目だから5分で終わり、○○選手の○○という技で決まり」「この対戦相手だと5分過ぎに場外乱闘で終わりだね」とか予想がつくのです。というか予想するのがプロレスファンの楽しみ方です。
  • それでも猪木が元気なころの新日本プロレスは、沼津や富士であっても予想外の展開があってファンが大騒ぎをするということがありました。ところが、元文部科学大臣馳がマッチメーカーのときの新日はひどかった。地方試合は完全に手抜き。馳がトップロープに上って黄色いTシャツを脱ぎ捨てて投げるというパフォーマンスがお決まり。新日が会社を身売りするまで落ちぶれたのは、アントニオ猪木のわがままと金銭欲というのが定説で確かに当たっていますが、馳のマッチメイクが失敗であったことは否めないと私は思います。東京ドームなどの大試合に全力をそそぎ、地方では手を抜くという新日の姿勢がファン離れを呼んだのです。
  • その頃、全日の四天王に負けない、激しい試合をしていたのが、全女でした。全女は年に2回くらい、沼津や清水に来てくれました。今は教頭先生のYK先生、漢気があって人情家のYT先生と一緒に父母会長のKさんの車に乗って試合会場に行きました。
  • YK先生とは静岡の体育館までJWP(キューティー鈴木とか尾崎魔真弓とかダイナマイト関西がいました)の試合を観に行ったことがあります。速めに会場についてチケットを買おうとしたのですが、30分過ぎても試合の準備が始まりません。おかしいなと思っていると、JWPの社員だという男性が客を集めて説明を始めました。「この会場のプロモーターが金を持ち逃げしてつかまりません。チケットをお求めのお客様には払い戻しさせていただきます」というのです。社員の悲痛な表情から、これはプロレスでなくセメントだと分かりました。しばらくすると、その社員から声をかけられました。「うちの会社に勤めてみませんか」プロモーターが夜逃げするような会社に誰が勤めるんだ‼と思いましたが、しばらくするとJWPは一時休業してしまいました。(JWPは今も存続しています。)
  • 全女の経営も苦しかったようです。フジテレビの放映が減少し、クラッシュギャルズ引退後女性ファンがいなくなるという厳しい状況でした。また、オーナー一族松永家による株式投資や他業種での失敗などが経営を圧迫していました。それを何とかしようと全力で戦っていたのがレスラーたちでした。北斗晶のデンジャラスな技を何回も受け「死ぬんじゃないか‼」と思わせるすごい受け身をとり、その後トップロープから高く舞い上がり華麗な技を繰り広げていた「飛翔天女、豊田真奈美選手」を、私は観に行っていたような気がします。
  • 下田美馬は、その豊田選手とスイートハーツというタッグを組んでいました。なんと豊田選手もまだ現役でした。しかし、体がもボロボロで今年の9月に引退試合をするそうです。
  • 北斗もブル中野もすごかったけれど、わたしは赤いベルト(WWWA世界シングル王座)を4度も巻いた豊田真奈美が一番好きです。男子プロレスに関心がなかったと言われる豊田は、全女が終わりを告げる時代に、女性らしい本当に美しいプロレスを極めた人だと思うからです。
  • 全女が好きだったもう一つの理由は、松永会長の焼きそばが好きだったからです。特段おいしいというわけでもない普通の焼きそばでしたが、沼津駅北という屋外会場で松永会長自ら焼いている焼きそばは昭和のプロレスの匂いがぷんぷんとしていました。豆腐プロレスの会場の背景画像でいいですから白髪のおじさんが焼きそばを焼いているシーンを挿入してほしい‼

豆腐プロレスファンのためのプロレス講座 プロレスの歴史を学ぶ

  • とても人気の高かった新生UWFですが、フロント社員による使い込みなど不明朗な会計処理に資金繰りが困難になって団体が存続できなくなります。そして兄弟のように仲が良いと(ファンが)思っていた前田と高田がたもとを分かつことになります。そして高田がUWFの延長線上にあるような団体”UWFインター”を立ち上げます。そして、前田はオランダからキックボクシング、ロシアからコマンドサンボや極真空手の選手、というように世界中の格闘家を呼び寄せRIGSという団体を作ります。
  • RINGSは当時格闘技の玉手箱状態でした。そのコンセプトは格闘家にプロレスをしてもらことで、その格闘技の特長・良いところを十分に発揮してもらうというものだったと私は考えています。格闘技をリスぺトする前田らしい視点です。そこにはプロレスこそ格闘技の頂点だという新日本プロレス・ストロングスタイルの考えはありません。
  • それまで日本人が誰も知らなかったロシア軍の格闘術コマンドサンボ。その遣い手であり軍の教官でもあったボルクハンはファンを驚かせてくれました。”千の関節技を持つ男”ボルクハンは立ったまま相手に腕がらみを極めてしまうのです。
  • RINGSには和術慧舟會総帥の西良教典先生も参戦しました。そして正道会館の佐竹雅昭、角田信朗も参戦するようになりました。後に正道会館は、RINGSに参戦したときに盗んだ興行のノウハウやオランダ・ロシア勢との関係を利用してK1グランプリを立ち上げ大成功を収めます。ピーターアーツやヒョードルなどはもともとRINGSの選手だったのです。前田は正道会館の石井に軒を貸して母屋を取られてしまったのです。
  • 総合格闘技という言葉と概念を創り出したのは、佐山や前田という新日本プロレス・UWF系のレスラーたちでした。ところがそうした強さを求めるプロレスは、K1グランプリやプライドの隆盛によって、衰退していきます。そして総合格闘技の主流はプロレスと遠く離れた場所で実を結ぶことになります。今アメリカで大人気を誇るMMAです。
  • 強さを求めるプロレスの衰退は、アメリカからの黒船によって決定的に息の根を止めることになります。あの木村正彦に腕を折られたエリオ・グレーシーの息子ホイス・グレーシーが1993年コロラド州デンバーで行われた第1回UFC大会で優勝します。ホイスはその後2度優勝し来日して日本の格闘家にも勝っています。本当はそのホイスよりも強いと言われていたのが兄のヒクソン・グレーシーです。100戦連勝一度も負けなしという看板を掲げていました。
  • そのヒクソンに高田延彦や舟木誠勝というUWF系レスラーが破れ、プロレス最強という神話が滅びたのです。なかでも一番の戦犯はUWFインターの選手であった安生です。この男はロサンゼルスのヒクソンの道場を勝手に訪れ、セメントマッチを要求し、逆に返り討ちにあいボコボコになって帰国したのです。
  • 柔道の鬼木村正彦が騙しうちによるセメントマッチで敗れ、プロレスラー力道山が強さの象徴のように扱われプロレス最強の神話が、その弟子アントニオ猪木に受け継がれ、さらに猪木の弟子たちによって極められようとしていました。とまさにその時、木村正彦が腕を折り日本武徳会柔道の強さを証明した相手、エリオ・グレーシーの息子たちによって、プロレス最強の夢はついえたのですから、歴史の皮肉としかいいようがありません。セメントマッチは歴史の底流に潜みながら、プロレスの夢を作ったり壊したりしてきたのです。
  • だからこそ、軽々しくセメントだとかシュートとか言ってはならないと私は思うです。
  • さてRINGS総帥前田日明は膝を怪我したまま戦い続けますが、その膝がついにいうことを効かなくなります。前田の引退試合の相手は当時”霊長類最強の男”と言われたアレクサンドル・カレリン(オリンピックレスリング金メダリスト・ロシア)でした。昔はアンドレを蹴り倒した前田も、カレリンにつかまると、どんな体勢からでもホイホイ投げられてしまいます。それでも、さすがプロレスラー受け身を取ります。唯一の見せ場が、前田がカレリンに腕ひしぎを極め、カレリンがロープエスケープするという場面でした。平成の格闘王前田日明の引退試合は、美しいプロレスでした。木村正彦対力道山から始まったプロレスと格闘技の確執は、前田がカレリンとプロレスをするというきれいな結末によって終わりを遂げたのだと、私は思います。ちなみに横浜アリーナで行われた試合を私は現場で観ました。なんか涙が出て止まりませんでした。(下の写真、左側が霊長類最強の男カレリン、右側が昭和の格闘王前田です)

豆腐プロレスを応援したい

  • 木村正彦は、結核であった妻に高価な米国製の薬を買い与えるために嫌々ながらプロレスをしていたと言われています。
  • この本『木村正彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮文庫)を書いている増田俊也さんの『七帝柔道期』(角川文庫)が売れているそうです。旧帝国大学の運動部同士が対戦する七帝戦という運動会が今も行われています。旧帝大柔道部の柔道は講道館柔道ではありません。戦前の高専柔道です。簡単に言うと投げ技なし、関節技と絞め技だけの柔道です。増田さんは北海道大学柔道部員として七帝戦を戦っていたそうです。実は木村正彦の修めた柔道は、大日本武徳会柔道で古流柔術の技が入っています。また木村が主将を務めた拓殖大学柔道部は、高専柔道大会で優勝しています。
  • 木村正彦は柔道全般にわたって強かったのです。15年間全日本柔道選手権と天覧試合(天皇陛下の御前試合)において不敗でした。また、現在のMMAにあたる試合をブラジルで行い勝利しています。その相手は、ヒクソン・グレーシーやホイス・グレーシーの父親であるエリオ・グレーシーでした。木村は得意の大外刈りでエリオを倒した後、腕がらみでエリオの腕の骨を折っています。
  • 強いということとプロレスがうまいということは必ずしも一致しません。
  • ストロングスタイルを標榜していた新日本プロレスですが、アントニオ猪木の力が衰え長州力がマッチメイカーをしていた時代に、ガチンコ寸前だった一群の試合があります。旧UWF対新日本というマッチメイクです。
  • UWFというのは、猪木が新日本若手選手の先生役として呼んだカール・ゴッチに直接師事していた藤原喜明、木戸修、佐山聡(初代タイガーマスク、総合格闘技修斗創設者)、前田日明達が、新日本を飛び出して作った団体です。ストロングスタイルを更に突き詰めてその先を行くものとしてのシュートスタイルを標榜していました。人気はあったのですが資金繰りに行き詰まってしまい、佐山以外の選手が古巣の新日本に戻ることになりました。
  • 緊張感があっておもしろい試合が繰り広げられましたが、時に嚙み合わない試合もありました。
  • 猪木がUWFの藤原喜明と対戦したとき、猪木が藤原に金的蹴りを行ったことがあります。このときセコンドについていた前田日明が「アントニオ猪木なら何をしても許されるのか」と言ったという有名な話があります。
  • その前田ですが、この当時アンドレ・ザ・ジャイアントにセメントを仕掛けられたことがあります。
  • アンドレは伝説のレスラーになってしまいましたが、身長223cm、体重236kg、リングシューズ38cmというとてつもなく大きな選手でした。昔の富士市立体育館で新日本プロレスの試合を観戦したときのことです。北側の控室からヌッと頭を出したアンドレが、そのまままっすぐリングに入場してきたのです。当然のことですがアンドレの前には客席がいっぱいあります。悲鳴をあげ蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う観客や椅子などまったく気にせず、アンドレはまっすぐリングに入場しました。おそらく彼は客席をよけて入場路まで行くのが面倒くさかっただけだと思います。私の席もアンドレの直線距離入場路に位置していましたので、もう一目散に逃げました。場外乱闘を間近に見たことは何度もありますが、後にも先にもアンドレの入場ほど怖かったことはありません。
  • 背が高いだけではありません。とにかく容積が大きいのです。大巨人とか人間山脈とか言われていましたが、本当に怪物でした。そのアンドレと前田のシングルマッチが突然組まれました。すると試合の開始前、レフェリーのミスター高橋があわてて前田のところにやってきて「大変だ‼アンドレが本気で怒ってる今日は前田を制裁するといきまいてる」と言ったのだそうです。そこで前田が外人の控室に行くと激高したアンドレが「Get away!」と言うばかりで話にならない。
  • それでも前田はプロレスをしようとしたのですが、アンドレが全体重236㎏をかけてきて後ろから全力でフルネルソンで締め上げてきて、前田もこれはちょっと違うぞと思ったそうです。すると異変に気付いた藤原喜明が飛んできて「お前なにやってるんだ、このままだったら殺されちゃうぞ、行け!」と言って前田もセメントする気になって、ヒールホールドでアンドレの膝を痛めつけ膝頭に前蹴りを入れて、とうとうアンドレはマットに大の字に寝転んでしまいます。それが上記の写真です。
  • そのアンドレに対し前田が弁明を求めると「This is not my business.」と答えが帰ってきました。つまり自分がやりたくてやったセメントじゃないよということです。アンドレに依頼した誰かがいるということです。
  • このように、セメント、シュートというのは大変恐ろしい話なのです。秋元康さんはおそらくプロレスファンであったことはないのでしょう。どうも言葉の意味や背景がお分かりでない。
  • その前田ですが、タッグマッチでサソリ固めをかけている最中の長州に対し廻し蹴りで顔面を蹴ったということがありました。新日サイドは「プロレス道にもとる」という理由で前田に対し無期限不出場処分を下します。前田や高田延彦は「プロレス道って何?ストロングスタイルは嘘じゃねえか」ということで新日本を再び退団し第2次UWFを作り大ブームを巻き起こします。
  • 昭和の終わり、まだMMAなどという美しくない競技が登場しない時代です。プロレスの試合はお約束だけど、何か仕掛けらたらボコボコにできるほどプロレスラーは強いという神話が生きていた時代です。
  • 新生UWFのロゴが入ったTシャツです。古代オリンピックのパンクラチオンという競技がデザインのもとになっています。かくいう私もこのTシャツを着て部活動(卓球部)を指導していました。本当に懐かしい時代です。

「豆腐プロレス」を高く評価したい 

  • 結論からいうと、女子プロレスという大変マイナーな世界、世間様から偏見ときには女子プロレスファンはあたかも変態であるかのごとく蔑みの目で見られている、そういうジャンルである女子プロレスを、あのアイドル界の№1の座に君臨し不動の地位にあるAKB48が演じてくださるというだけで、まったく感謝申し上げるしかないと思うのです。
  • ですから、プロレスファンの「プロレスをなめるな」的評判や、「エロ親爺しか観ないだろう」という世間的な評価など一切気にせず、視聴率の低迷にもめげず最終話までこぎつけてほしいと願ってます。
  • ただし、秋元康が「マットの上で汗を流すメンバーの姿は、2005年のAKB48設立の頃のレッスン風景と重なった。 不安と期待、やったことがないものにチャレンジするまなざしはキラキラしている。プロレスの真剣勝負を、『セメント』と言う。身体能力は、女子プロレスラーとは比較にならない。『セメント』にはならず、“なんちゃってプロレス”になるだろう。だから、気持ちは『セメント』、実際は、『柔(やわ)なもの』という意味を込めて、タイトルを『豆腐プロレス』にした。 現役アイドルたちの豆腐のように壊れやすい、技と技のぶつかり合いをお楽しみください」というコンセプトは違うのではないかと思うので、プロレスについて詳しくないであろうAKBファンのために一文したためようと思います。
  • さて、店のBGMは流行歌のJ‐POPです。ジャンクフードやファーストフードのようなもので基本的に脳にとって不健康な音源です。本当は止めてほしいのですが、歌詞の日本語さえ無視すれば、この手の音楽は音が薄いので割と無視できるようになってきました。
  • ところが、このところ繰り返し流れる歌でAKB48の「シュートサイン」というのが気になって仕方ありません。こいつら「シュート」の意味が分かってんのかと思った次第です。
  • プロレスには、ブッキングという仕事をするブッカーという役割の人間がいます。基本的にレスラーまたは元レスラーがなりますが、アメリカのWWE(マクマホン一家が経営する世界最大のプロレス団体、あのトランプ大統領も出演したことがあります)では経営者のマクマホンがやってるようです。ブッカーは対戦相手と試合結果を決めます。WWEのように詳細な試合の脚本があることもありますが、基本的には選手同士で大体こんな感じでやろういう粗筋を決めてから試合をします。
  • よく「プロレスって八百長でしょ」という人がいますが、試合結果が決まっているのですから八百長という表現にはあたりません。野球、ボクシングでは試合結果を決めていないでしょう。結果が決まっていないので賭博が成立します。その賭博で胴元が有利になるよう行うのが「八百長」です。
  • 大相撲はこの点が曖昧です。野球賭博は聞いたことがあっても、相撲賭博はないでしょう。しかし、懸賞金がかけられている一番もあるわけですから、結果が決まっているとしたら、やはりドッチラケですね。
  • 番付を下げないためには”一場所に○○勝は必ずしなければならない”という必勝ラインがあるそうです。そこでお金で星を買ったり、負けてもらうお返しに力士自身あるいは同部屋の力士が負けてあげたりするというのが相撲の八百長です。
  • 『ヤバい経済学』スティーヴン・レヴィット2007東洋経済新報社という本がおもしろくて、統計的に分析すると、番付上位陣が勝ち続ける大相撲の試合結果は本来あり得ないということが書かれています。ドキュメンタリー風に仕立てたDVDもありますから、映像でご覧になってもいいかもしれません。
  • 勝ち負けが支度部屋で取引されてきたというのは、100万円の寄付金同様、当事者以外には確かめようがないことですが、十分有り得ることだと私は思ってます。稀勢の里は、今までなかなか横綱になれなくて、なったとたんに怪我をしてしまいました。これは彼がガチンコ(星の売り買いをしない力士)だという証明だと思います。貴乃花もガチンコ力士だったから、怪我をしても優勝しその怪我のせいで引退するはめになりました。大相撲でシュート(セメント)マッチは、あまり得になりません。
  • プロレスはその逆で、レスラーがブッカーの決めたマッチメイクどおりにやらないセメントの試合は基本的にあり得ないのです。ごくごくたまにあるセメントマッチは、プロモーターやレスラー仲間による制裁であったり、レスラー同士の因縁によって偶発的に生じるものだと言われています。シュートサインというのは「ガチンコでやるよ」というレスラーの意思表示やプロモーターや先輩からの指示を客に分からないように表現する仕草のことです。
  • さて、史上最も有名なセメント試合、ガチンコが「木村正彦×力道山」です。このマッチメイクは、互いに勝ち負けを繰り返し全国を巡業して回るというものだったそうです。ところが力道山がそのお約束を突然無視して、ガチンコで張り手(いわゆる空手チョップ)を顔面にかまして不意をつき木村正彦をKOし無理筋で勝ってしまいました。
  • 力道山は元力士だけに「ガチンコをしてはならない」というプロレス界の暗黙ルールを破ることに躊躇がなかったのかもしれません。この試合の後、力道山の世間的評判は高まり日本プロレス界の王者として君臨することになりました。逆に「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた木村正彦7段はその後柔道界から黙殺され講道館も段位を上げることがありませんでした。
  • 木村のセコンドについていた極真空手創設者大山倍達が「力(道山)を殺す‼」と言ったのは有名な話です。しかし木村正彦は、この試合のあとプロ興行から一切手を引き、沈黙を貫き通しました。
  • このようにセメント試合というのは本当に重い話なのです。豆腐プロレスはいいけれどシュートサインという言葉は使ってほしくなかったいうのが元プロレスファンとして秋元康さんに対して思うことの一つです。